胃の病気


上腹部(みぞおち付近)に異常を感じると、多くの方が‘胃の調子が悪い‘と来院されます。確かに胃の病気のこともあるし、他の臓器(食道、十二指腸、大腸、膵臓、胆嚢および心臓など)の場合もあります。胃の疾患には、内視鏡検査で病気の姿、形のみえる器質的疾患と内視鏡検査では問題のない機能的疾患に分けられます。器質的疾患には潰瘍、ポリープ、癌などがあり、内服治療、内視鏡的治療、手術などが必要です。機能的疾患は診断は難しく、適切な治療によって症状は軽快します。不安なことがあれば専門家の診察を受けてください。

 

慢性胃炎:

 胸やけ、もたれ、むかつきを訴えて来院。内視鏡で観察してもわずかに線状の発赤を認めるのみで、慢性胃炎の一種の表層性胃炎の所見です。このような慢性胃炎の方の中に、なかなか治らない胸やけ、もたれ、むかつきに悩まれている方が多くいます。機能的上部消化管症状と呼ばれ、胃や食道の正常な運動機能の衰えが原因です。抗潰瘍剤や粘膜保護剤では効果が少なく、消化管運動促進剤を内服すると改善します。
 
急性胃炎:

 心窩部痛、食欲不振、吐き気を訴えて来院。内視鏡検査を施行すると、前庭部に線状のびらんを認め、急性胃炎の所見です。整形外科から処方された鎮痛剤が原因でした。抗潰瘍剤、粘膜保護剤の内服で症状は速やかに消失しました。
 
胃ポリープ:

 健診の胃X線検査でポリープの疑い、内視鏡検査を施行すると小豆大の白色調の表面平滑なポリープを認めました。組織検査では過形成性ポリープの診断。このポリープは、大きくなったり癌になったりすることはありません。年に一度の検査で十分と思います。
 
胃潰瘍:

 心窩部痛、食欲不振、黒色便を訴えて来院。内視鏡検査を施行すると類円形の活動期の潰瘍を認めました。良性の潰瘍で内服治療で十分に治癒します。現在、潰瘍の原因はピロリ菌であるされ、潰瘍の治療としてピロリ菌をやっつける(除菌)ことが認められています。潰瘍を何度も繰り返している方は、是非除菌療法を考慮してください。
 
進行胃癌:

 心窩部痛、食欲不振、黒色便を訴えて来院。抗潰瘍剤で症状は少し軽減しましたが、これまで胃の検査をしたことがなかったので、内視鏡検査を施行いたしました。胃に進行癌を認め、すぐに手術の方向で病院を紹介いたしました。癌は治癒切除(治ることが期待できる手術)でした。症状があって、検査を受けたことがない方は、積極的に検査を受けることをお勧めします。


 大腸の病気


大腸には様々な疾患が存在します。癌やポリープのように手術や内視鏡治療が必要な腫瘍性疾患。潰瘍性大腸炎やクローン病のように経過の長い肌理細やかな治療が必要な炎症性腸疾患。過敏性腸症候群のようななかなか理解されない機能的疾患。いずれの疾患も診断、治療にあたっては専門的知識を必要とします。以下に、内視鏡所見を提示しながら簡単に紹介いたします。

 

大腸早期癌:

 ‘大腸ポリープ‘といった場合、‘大腸内にでっぱっているもの‘を意味します。従って、これも大腸ポリープの一種です。大きさは大豆大です。このようなポリープは内視鏡を使用して、外来で治療いたします。組織を確認したところ、このポリープの一部に癌を認めました。治療はこれで問題はなく、今後は定期的フォローが必要となります。


 
大腸早期癌:

 このポリープは大きさの割りには高さの低い、横に広がったポリープです。大きさはレントゲンで確認すると35×25mm大でした。内視鏡所見から早期癌であり、大きな病変ですが内視鏡治療が最良と判断。大きな病変のために出血の危険性があり、入院が必要になります。組織検査では粘膜内にとどまっている早期癌でした。粘膜内癌であるという確かな診断能と内視鏡的粘膜切除術の技術があれば、不必要な腸切除術を避けることができます。

 
大腸早期癌:

 下血を主訴に来院されました。即日緊急内視鏡検査を施行し、このような腫瘍を認めました。内視鏡診断は早期癌と進行癌の境界線上の病変と判断。腸切除術を施行。大きさは33×26mmで、癌は粘膜下層にまで十分に達していました。この病変の場合、癌の深達度(根の深さ)が深く、内視鏡治療は不可能です。

 
大腸進行癌:

 便潜血反応陽性で内視鏡検査を施行。上行結腸(右側の大腸)に腸管内全体を取り囲むような大きな腫瘍を認め、管腔は著しく狭くなっていました。腸切除術を施行したところ、腫瘍の大きさは90×55mmでした。大切なことは便潜血反応は診断ではないということです。陽性の人に必ず病気があるわけではないし、逆に陰性の人の中にも僅かですが癌の人がいます。症状があるときは専門家の診察を是非うけてください。
 

 

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加藤内科胃腸科クリニック

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